2013年05月13日

H&M会長 ステファン・パーソンは世界第12位の大富豪

Stefan_Persson.jpg

(写真は、http://www.svd.se/naringsliv/nyheter/sverige/hm-topp-rasar-mot-tv4-och-kalla-fakta_7770806.svdより)

ステファン・パーソン Stefan Persson(1947年10月4日生まれ)。世界最大のファストファッション・ブランド H&M の会長です。

H&Mの年間売上は2012年11月期で120,799,000,000スエーデンクローナ(約1兆8600億円、1スエーデンクローナ=15.4円換算)。ユニクロを展開するファーストリテイリングの年間売上が約9300億円弱(2012年)ですから、およそ2倍の規模になります。

ステファン・パーソンのH&M株式持ち分評価額は、2,013年3月現在で約280億ドル(2兆8000億円、1ドル=100円換算)となり、スエーデンでは第1位、世界12位の大富豪です。

パーソン会長は、近年では不動産投資家としても有名で、英国南部のハンプシャー州にある人口40人の小さな村リンケンホルトを購入したり、バーバリーやモスキーノ、バリーなどのブランドショップが並ぶパリ市内の1ブロックを丸ごと219億ドル(219億円、1ドル=100円換算)で購入しています。

さらに、数えきれない店舗用不動産を保有し、H&Mにリースを行い賃料収入を得ています。

とはいえ、莫大な資産のほとんどは父が1947年に創業したH&M株式の38%の持ち分に基づくものです。


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"In our industry, being first in a market is not everything. Customer loyalty is. And loyalty is not won by being first. It is won by being best."

「我々の業界であっても、市場において迅速であることがすべてではない。顧客のロイヤルティこそがすべてだ。迅速さではロイヤルティは獲得できない。最上であることによってこそ獲得できる。


"We believe that no one should have to choose between price and quality, between price and fashion, between price and service."

「価格か品質か、価格かファッションか、価格かサービスかどちらかを選ばなくてはいけないということは断じてないと信じている。」


"You have to sow before you can reap."

「種をまかなければ収穫できない。」


"H&M never stops developing."

「H&Mが発展をやめることはない。」


"[In 1997] A store is more than a place to buy something. Today’s customers seek inspiration and experiences."

「(1997年の言葉)お店は何かを買うだけの場所ではない。今日の顧客が求めるものは、インスピレーションと体験である。」


"[On comparing H&M and Ikea in 2001] Ikea is very Swedish and promotes itself as a Swedish company. We do not."

「(イケアとH&Mを比較した2001年の言葉)イケアはとてもスエーデンらしい会社であり、スエーデン企業として売り込んでいる。我々はそうではない。」


"Cost awareness is... crucial if we are to survive..."

「コスト意識は・・・生き残りのため決定的に重要である・・・」


"What is the secret of our success? Primarily, it is the combination of fashion, price and quality that provide unsurpassed value to the customer."

我々の成功の秘密は何か?第一に、ファッション、価格そして品質を組み合わせることで顧客に比類ない価値を提供していることだ。


"Sure, we are aware of the [fashion] collections, but we look everywhere - to outrageous street fashions, to what people are wearing in normal situations, to clothing from other cultures, to what is worn in films and at parties and in pubs and restaurants. We are not creating fashion. With our volumes, it would be too risky to do that. But we are an independent force as a design unit. We take inspiration from life as we see it. And we differ from ivory tower designers because we are very people- and customer-oriented."

「ええ、もちろん(各ブランドやデザイナーの)コレクションは意識している、だがそれだけでなくあらゆる所を見ている - 過激なストリート・ファッション、人々の普段着、異なる文化圏の服装、映画やパーティでの衣装やパブやレストランでの服装とか。ファッションを創造することはしません。我が社の規模からみて、とてもリスキーだからです。とはいえ我が社で独自にデザインを行っています。我々がインスピレーションを得るのは見たままの生活からです。象牙の塔のデザイナーとは違い、人々そして顧客を志向しているからです。」


"Our goal is to provide better service and better quality without raising prices."

我々のゴールは、価格を上げることなくよりよいサービスとより高い品質を提供することである。


"We do not manufacture ourselves nor do we own any factories, but the fact that we are a major buyer gives us considerable influence."

「我々は自身で製造を行わないし、工場を一切持たないが、主要バイヤーであるという事実が大きな影響力をもたらしている。」


"H&M’s success is based on a high degree of decentralised decision-making and very strong central management."

H&Mの成功は、意思決定の高いレベルでの分散化ととても強力な本社マネージメントに基づいている。


"We have a flat organisation with very few levels between customers and management."

我々の組織はフラットで、顧客とマネージメントの間にはほんのわずかの階層しかない。


"Focusing on costs is another important aspect of our corporate culture... Every krona that we spend affects our prices and our business concept."

「コストに集中することは、我が社の企業文化のもう一つの重要な面である・・・たった1クローナの支払いさえも我々の価格やビジネスコンセプトに影響を与えるのだ。」


"[On the culture of H&M] It is the informality. Anyone can speak with anyone, there are no formal meetings. Common sense. The commercial sense. Instinctively what is right. Flexibility and speed. Cost awareness is also crucial if we are to survive with our idea of the best price-performance ratio. Each crown (dollar) that is spent unnecessarily, has ultimately affect the price and can threaten our entire concept."

(H&Mの企業文化について)それはインフォーマルさだ。誰でも誰とでも話をすることができる。公式な会議というのはない。共通の常識。コマーシャルなセンスだ。直感的に何が正しいかを分かること。フレキシビリティとスピード。コスト意識も重要だ、もし最高の対価性能という我々の理想を維持し続けようとするなら。不用意に使ったお金は1ドルであっても、最終的には価格にはねかえり我が社のコンセプト全体を脅かしかねない。」
posted by カイト at 13:27| Comment(3) | TrackBack(0) | ファッション | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年04月20日

ファッション・ブランド ZARA 創業者が世界第3位の大富豪に - アマンシオ・オルテガ

ザラ ZARA アマンシオ・オルテガ

アマンシオ・オルテガ Amancio Ortega(1936年3月28日生まれ)。スペイン発のファッション・ブランド ZARA を展開する「インディテックス社」(全部で8ブランドを展開しています)の創業会長です。

現在も、同社の株式の59%を保有し、2013年3月現在の個人資産は570億ドル(約5兆4000億円、1ドル=95円換算)に達し、世界第3位の大富豪となっています。

インディテックス社の上場は2001年で、上場時点でのオルテガ氏の個人資産は 66億ドルでしたから、この10年間の世界展開のスピードのすごさにも驚かされます。さらには中国など新興市場への積極的な展開により、なんと2012年から2013年のわずか1年で約2兆円も個人資産を増やしています。

オルテガ氏の富の源泉は、アパレル事業にとどまりません。欧州の景気低迷期に底値で多くの不動産を購入しています。その価値は、現在 40億ドル(3800億円、1ドル=95円換算)以上とされ、グーグルが入居しているマドリッドの43階建て高層ビル「トーレ・ピカソ」を初め、ロンドン、シカゴ、サンフランシスコ、ニューヨークなどに資産価値の高い選りすぐりの物件を保有しています。

そんなアマンシオ・オルテガは、鉄道作業員の父と家政婦の母親の下に5人兄弟の末っ子として生まれています。中学校卒業後すぐに地元の縫製店で働き始めています。1963年に27才で独立し、親族と部屋着と下着の専門店をオープンさせています。現在のZARA の製販一体型の経営はこの当時から始まっていました。

ちなみにZARA の記念すべき第1号店のオープンは、1975年。10年後にスペイン国内で38店舗を構えた時点で、ZARA の企画、生産、物流、販売までを総括する「インディテクス社」を設立しています。以降は、ヨーロッパ、アメリカ、中近東と次々に展開、97年には日本で第1号店をオープンさせ、2011年時点ですでに全世界で5000店舗を超える巨大ブランド帝国を築き上げています。


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"We cannot limit ourselves to continuing on the path we have already opened…"

「ここまで切り開いてきた道を我々が進み続けるとは限らない」


"One thing hasn’t changed – the innovative spirit and urge for improvement that was the driving force back then."

「ひとつ変わらないことは - 当時から革新的な精神と改善への情熱が原動力だったということだ」


"[In 2003] The key part of Inditex’s business model is its human capital."

インディテックス社のビジネスモデルの鍵は、人材にある。


"Companies are comprised of human beings without the effort, professionalisms and motivation of whom, no achievement could be made."

企業というものは人間から成り立っている、努力、プロフェッショナリズム、モチベーションなくして、いかなることも達成できない


"Innovation and commitment towards our customers define our corporate culture…"

「革新そして顧客へのコミットメントが我が社の企業文化である」


"Just as we did in that first store which opened its doors… 25 years ago, we will expose ourselves daily to public scrutiny and attempt to seduce the customer with the latest fashion, the finest design, and the most attentive service."

「25年前・・・かつて最初の店舗を開店した時から変わらず、日々人々観察眼に自らを晒し、最新のファッション、最高のデザイン、最良のサービスで顧客を魅了し続けていく」


"The good governance of the company – and a transparent decision – making process – is inscribed in the very culture of our group."

優れた企業統治 - そして意思決定の透明性 - こそが我が企業グループの文化として刻み込まれている


"The problem of succession in businesses anywhere in the world arises from the fact that not all legal heirs are suitable."

「世界中のどこであれ、事業継承における問題は、子供たちが必ずしも適任とは限らないことにある。」
posted by カイト at 11:46| Comment(0) | TrackBack(0) | ファッション | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年03月17日

「ディーゼル」創業者、資産30億ドルの大富豪となる - レンツォ・ロッソ

RenzoRosso.jpg

(写真は、「フォーブス」より


レンツォ・ロッソ Renzo Rosso(1955年9月15日生まれ)。イタリアのアパレル・ブランド「ディーゼル」(Diesel)の共同創業者です。

「フォーブス」の最新の世界の億万長者特集(2013年)では、資産30億ドル(2850億円、1ドル=95円換算)の大富豪とされています。

ロッソは、イタリア北部の農村生まれ。学校を卒業してしばらくは両親の農作業の手伝いをしていましたが、農家を継ぐのでなく違う道を進みたいと思いテキスタイルの専門学校に入学します。在学中の15才の時から、ジーンズを手作りし、友人にあげたり校内で販売したりしていました。1973年にヴェニス大学経済学部に進学していますが、両親の農作業を手伝うかたわら、メカニックや大工の仕事をして学費を稼いでいました。

大学は、結局、2年で中退することになり、下請け服飾メーカー「モリテックス」に入社しています。ここで親会社「ザ・ジーニアス・グループ」経営者のアドリアーノ・ゴールドシュミットと出会い、2人は後に「ディーゼル」の共同創業者となっています。

ちなみに「ディーゼル」というブランド名の由来は、ディーゼルがガソリンの代替燃料であることから他の有名ジーンズブランドの代替ブランドであることを意味し、かつディーゼルという言葉が世界共通語で同一発音であることから取られたとのことです。

1985年、ロッソは「ディーゼル」の株式をすべて買い取っていますが、当時の年商は5、6億円程度でした。海外展開は91年から。その後、バッグ、アクセサリー、靴、さらにはホーム・インテリア市場に参入するなど急速に事業を拡大しています。

ディーゼルは、2012年時点で年商20億ドル(1900億円、1ユーロ=95円換算)の巨大ブランドに成長しています。

年商の割に推定個人資産が大きく不思議な気がしますが・・・。

ロッソは自身の持株会社を通じて、過去10年間の間にヨーロッパの新興及び中堅ブランドに投資を続け、パリの「マルタン・マルジェラ」、アムステルダムの「ヴィクター&ロルフ」、ミラノの「マーニ」などの大株主になっています。この持株分の資産評価が加算されているためです。


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◇ “I expect them to work like I work, with an incredible passion and love, then everything comes easy and nice.”

「彼らも、私と同じように、信じられないくらいの情熱と愛情で働いてくれることを期待している。それによってすべてが簡単かつうまく実現する。」


◇ "I think designers are opening up their capital earlier now because they understand that it allows them to grow faster."

「デザイナーは、早い段階から資本投入することを考えるようになっていると思う。なぜなら、それによってより早く成長できることを分かっているからだ。」


◇ "It's a cultural sea change when you can come up with an idea, actualize the idea, monetize the idea and become a billionaire by your 40th birthday. That just didn't happen in the pre-Microsoft era."

「文明の変革で、アイデアを着想し、実行に移し、金に変え、40才の誕生日までに億万長者になることができるようになった。マイクロソフト登場以前には、そんなことはありえなかった。」


◇ “Well I grew up in the rock and roll era, listening to artists like Black Sabbath and The Sex Pistols. A lot of this rock and roll attitude has definitely played a big part in what Diesel has become. ・・・・

「私はロックンロールの時代に育った、ブラック・サバスやセックス・ピストルズといったアーティストを聞きながら。明らかにロックンロール的な姿勢は、今日のディーゼルで重要な役割を担っている。」


◇ “(Be honest, did you ever imagine Diesel getting this big?) I think most people dream of being big of course, but they never really believe it until they hit that turning point. Once I knew I had established my brand, I could really focus on making it as big as I could. That is an amazing feeling, a feeling that I will never forget. While it felt like forever when it was happening, looking back it feels like it happened overnight.”

「(正直、ディーゼルがここまで大きくなると創造していたか?)たいていの人はもちろんビッグになりたいと夢見ているが、転換点にたどり着くまでは本気でそれを信じていない。私自身のブランドを作り上げた時、できる限り大きくすることにひたすら専念できるようになった。決して忘れることができない驚くべき感覚だったよ。ブランドが大きくなっていく過程は永遠のように感じたが、振り返ってみれば一夜にして起こったような感じがする。」


◇ “(“What do you attribute to this success?”) One thing that we have always tried to be with Diesel is pioneers. We are always introducing new, modern, different, fresh, and rebellious products that take both denim and the people wearing it to a whole new place. I think the two biggest keys to our success were our vintage denim and the way we changed the way we communicated with our customers. Our vintage denim was something that no one else was doing at the time. We were the only ones able to produce a denim that had a look and feel of a great vintage pair of denim. This really helped to launch both Diesel and the industry into a new way of production. As I mentioned, our communication methods changed too. Most people were going direct saying ‘Here’s the product, buy it’. We decided to get away from that, and find a whole new way to communicate with our people. We decided to communicate through other people, the people our customers were listening to. We started working with celebrities, musicians, athletes to communicate in a more subtle way.”

「(ディーゼル成功の要因は何か?)ディーゼルがそうありたいと常に努めているのは、パイオニアであることだ。常に、新しいもの、モダンなもの、違ったもの、新鮮なもの、反主流のものを投入し続ける、デニム自体もそれを着る人もまったく新たな地点に連れていくような商品だ。我々の成功には2つの鍵がある。ヴィンテージ・デニムと、顧客とのコミュニケーションのあり方だ。当時、誰も我々のようなヴィンテージ・デニムを作っていなかった。素晴らしいヴィンテージもののデニムのように、見栄えがして着心地がいいものを作れたのは我々だけだった。ディーゼルにとっても業界にとっても新たな生産方式が生み出されることになった。さきほど述べたように、コミュニケーションの方法も変革した。たいていの人は、『商品がある、買おう』といった直接的な購買行動をとる。それを変えようと決断し、コミュニケーションのまったく新しい方法を見つけだした。我々は購買者に直接コミュニケーションをとるのでなく、購買者がその声に耳を傾ける人たちを通してコミュニケーションを行おうと決めた。セレブ、ミュージシャン、アスリートと共に、より緻密な方法でコミュニケーションをとることを始めたんだ。」

"I recently met with the Dalai Lama and he told me ‘Use your brand and your face to show the work you have done. You have the power to inspire others, and you should take pride in what you have done.’ I have learned from that and plan to use my face and my power to send a positive message. In fact, we are currently working on building a village in Africa.”

「最近ダライ・ラマと会った際、言われたのが『ブランドと自分自身を使いこれまでやってきたことを示せ。あなたには人を鼓舞する力があるのだから、これまで成し遂げてきたことに誇りを持つべきだ。』ということだった。その言葉から学び、自分自身と私の力を活用し、ポジティブなメッセージを伝えようと計画した。実際、今、我々はアフリカに村を作っているところだ。」


"(What ‘lifestyle’ does the Diesel brand promote?) In two words ‘successful living’ (this is Diesel’s tagline). We appeal to an intelligent consumer who shows their character not just through their clothes but more and more through their home too. We don’t tell people they have to only wear Diesel clothes or live with Diesel homeware, it’s about giving them a choice of original designs that aren’t just luxury but are very good quality that they can pick and choose from."

「(ディーゼルはどのようなライフスタイルを提唱しているのか?)2つの単語『サクセスフル・リビング』(ディーゼルのタグ)だ。我々は。服を通じてだけでなく、自身の家を通じて自分を表現しようとする知的な消費者に訴求している。ディーゼルの服だけを着なくてはならないとか、ディーゼルの家具だけで生活しろとは言わない。我々は、ラグジュアリーなだけでなくクオリティが非常に高いオリジナルデザインを彼らが選択できるようにしているのだ。」



"(Do you really feel the same people who buy Diesel jeans will buy a Diesel sofa too?) People approach lifestyle in a very different way now. Consumers fall in love with a brand and it’s important for a brand to develop and stretch itself to provide for their consumers. I don’t suspect that a customer will walk into a store to buy a pair of jeans and end up buying a sofa, but like I said before it’s about providing our loyal consumers with a choice to create a lifestyle."

「(ディーゼルのジーンズを購入している人がディーゼルのソファも購入すると本当に感じているのか?)ライフスタイルに対してはさまざまな姿勢がある。消費者はブランドに恋をするのだから、ブランドを発展、拡張させ消費者に提供していくことは重要だ。ジーンズを買いにお店に入った人がソファを買うことになるということも考えられると思うが、先ほども言ったように、お客さまにライフスタイルを作るための選択を提供しているということだ。
posted by カイト at 20:47| Comment(3) | TrackBack(0) | ファッション | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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