(写真は、ウィキペディアより)
ダン・ブラウン Dan Brown (1964年6月22日生まれ)は、「ダ・ヴィンチ・コード」(The Da Vinci Code、2003年)、「ロスト・シンボル」(The Lost Symbol、2009年)など発売されるとただちにベストセラーの第1位に躍り出る米国の小説家です。2012年現在、著書は52カ国語に翻訳され、累計刷数は世界中で2億部以上とされています。
ただ「天使と悪魔」(Angels and Demons、2000年)など初期の3作は初版1万部程度で、大成功を納めたのは4作目の「ダ・ヴィンチ・コード」からです。2003年に発表されたこの作品は2009年時点で全世界で販売総数8100万部という超ベストセラーになっています。
雑誌「タイムズ」は、「ダ・ヴィンチ・コード」からの印税や映画化権料などの収入が2億5000万ドル(232億円、1ドル=93円換算)に達したとしています。また、少し古い記事ですが「フォーブズ」が2005年時点でのダン・ブラウンの年収を7650万ドル(約71億円、1ドル=93円換算)と推定しています。
ちなみに映画「ダ・ヴィンチ・コード」(2006年公開)の興行収入は全世界で7億5800万ドル、さらにDVD売上が1億3000万ドルで2006年で最も商業的に成功した映画のひとつです。(トップは「パイレーツ・オブ・カリビアン デッドマンズ・チェスト」の10億6600万ドルで、「ダ・ヴィンチ・コード」は2位です。)
映画の商業的成功で、前作にあたる「天使と悪魔」も2009年に映画化されています。こちらは興行収入4億8500万ドルで第9位。この年は「アバター」が27億8200万ドルでダントツの1位でした。
2009年に発表され全世界3000万部を売ったラングドン教授シリーズの第3作「ロスト・シンボル」もトム・ハンクス主演での映画製作が現在進行中です。
ダン・ブラウンは、米国ニューハンプシャー州生まれで父親は数学の先生でしたが、両親ともに地元教会の聖歌隊に所属し、母親はオルガン演奏者でもありました。
大学卒業後、シンガーソングライターを目指して活動していたのも両親の影響があったかもしれません。ただ、ポップミュージックの世界では芽が出ず、1993年には故郷に戻り、学校教師となっています。
小説を書こうと思ったきっかけは、1994年、休暇でタヒチを訪れた時のことです。海辺で読んだシドニー・シェルダンの小説「陰謀の日」("Doomsday Conspiracy")がきっかけでした。物語の世界に一気に吸い込まれ、読み終えた後、これは自分にも書けると思ったそうです。こうして書き上げたのが処女作「パズル・パレス」(" Digital Fortress")です。
1996年には教師の職を辞し、専業作家になります。世界的なベストセラー作家となったのは、それから7年後の2003年に「ダ・ヴィンチ・コード」を発表してからでした。
ラングドン教授シリーズの最新作「インフェルノ」("Inferno")は、2013年5月の発売が決まっています。ダンテの「神曲」をモチーフにした作品でフィレンツェが中心舞台になるようです。
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"One of the many qualities that makes The Da Vinci Code unique is the factual nature of the story. All the history, artwork, ancient documents, and secret rituals in the novel are accurate…as are the hidden codes revealed in some of Da Vinci's most famous paintings."
「『ダ・ヴィンチ・コード』の特徴のひとつは、事実を元に組み立てた物語だということです。小説の中に登場する歴史、芸術、古代文書、秘密儀式はすべて正確なもので・・・ダ・ヴィンチの最も有名な絵画に見られる隠された暗号(コード)も同様です。」
"Indeed. I intend to make Robert Langdon my primary character for years to come. His expertise in symbology and iconography affords him the luxury of virtually endless adventures in exotic locales. Currently, I have rough sketches for almost a dozen Robert Langdon thrillers set in mysterious locations around the globe."
「その通りです。しばらくはロバート・ラングドンを主人公としたものを書いていくつもりです。象徴学やイコノグラフィーへの造詣の深さ故、エキゾチックな場所へと終わることのない冒険をいくらでも続けることができます。現在、地球上のミステリアスな地域を舞台にしたロバート・ラングドンものの小説の構想が1ダースほどあります。」
"As strange as this may sound, I very seldom read fiction. Because my novels require so much research, almost everything I read is non-fiction-histories, biographies, translations of ancient texts. Those few fiction writers who have inspired me most would be Ludlum for his plot intricacies, Steinbeck for his descriptions, and Shakespeare for his wordplay."
「妙に聞こえるかもしれませんが、小説はほとんど読みません。というのは、私の小説にはたくさんのリサーチが必要なので、読むのはノンフィクションの歴史ものとか、伝記とか、古代文書の翻訳とかなのです。最もインスピレーションを受けたのは、ごく少数の作家で、ラドラム(ジェイソン・ボーン3部作で有名なスパイ小説家)のプロット構成、スタインベックの表現、シェイクスピアの軽妙なやりとりです。」
"Until I graduated from college, I had read almost no modern commercial fiction at all (having focused primarily on the "classics" in school). In 1994, while vacationing in Tahiti, I found an old copy of Sydney Sheldon's Doomsday Conspiracy on the beach. I read the first page… and then the next…and then the next. Several hours later, I finished the book and thought, "Hey, I can do that." Upon my return, I began work on my first novel-- Digital Fortress -- which was published in 1996."
「大学を卒業するまで、近代の商業的な小説はほとんど読んだことがありませんでした(学校では「古典」が主でした)。1994年、タヒチでの休暇中に、シドニー・シェルダンの『陰謀の日』の古本を浜辺で見つけました。最初のページを読み・・・次のページを読み・・・また次を。数時間後、本を読み終えこう思ったのです。『これは、自分でも書ける』と。帰ってすぐに最初の小説『パズル・パレス』に取りかかり、1996年に出版されたのです。」
"If I'm not at my desk by 4:00 A.M., I feel like I'm missing my most productive hours. In addition to starting early, I keep an antique hour glass on my desk and every hour break briefly to do pushups, sit-ups, and some quick stretches. I find this helps keep the blood (and ideas) flowing. I'm also a big fan of gravity boots. Hanging upside down seems to help me solve plot challenges by shifting my entire perspective."
「明け方4時には机に向かわないと、一番生産性の高い時間を逃してしまった気持ちになります。早朝から始めることに加え、アンティークの砂時計を机の上に置いて、1時間毎に短い休憩をとり、腕立て伏せや、腹筋、それに簡単なストレッチを行います。これをやると血流がよくなり、アイデアも浮かんでくるんですね。あとぶら下がり健康器が大好きなんです。逆さ吊りになると、視点が完全に代わるので、プロットをうまく組み立てることができるようになるんです。」
"Two thousand years ago, we lived in a world of Gods and Goddesses. Today, we live in a world solely of Gods. Women in most cultures have been stripped of their spiritual power. The novel touches on questions of how and why this shift occurred…and on what lessons we might learn from it regarding our future."
「2000年前、私たちは神々と女神たちの世界に生きていました。今日、私たちは神々だけの世界に生きています。女性は多くの文化の中で、精神的な力をはぎ取られてきたのです。この小説(「ダ・ヴィンチ・コード」)は、これが何故どのようにして生じたのかという疑問について・・・さらには我々の未来のためにこのことからどのようなことが学べるのかについて触れています。」
"I consider myself a student of many religions. The more I learn, the more questions I have. For me, the spiritual quest will be a life-long work in progress."
「私は数多くの宗教の学徒だと考えています。学べば学ぶほど、多くの疑問が湧いてくるのです。私にとって、精神の探求は、終わることのないライフワークなのでしょう。」